ガラス電極法とは、ガラス電極と比較電極の2本の電極を用い、この2つの電極の間に生じた電圧(電位差)を知ることで、ある溶液のpHを測定する方法です。
ガラスの薄膜の内・外側にpHの異なる溶液があると、薄膜部分に、pHの差に比例した起電力が生じます。この薄膜を電極膜といいます。
普通、溶液が30℃の場合、2つの溶液のpHの差が1ちがえば、約60mVの起電力が生じます。
通常、ガラス電極の内部液にはpH7の液を用いますから、電極膜に生じた起電力を測定すれば、被検液、つまりpHを求めたい溶液のpH値がわかるわけです。
ところで、ガラス電極の電極膜に生じた起電力を測定するには、もう1本の電極が必要です。このガラス電極と一対のもう1本の電極が比較電極です。比較電極は、電位が極めて安定した電極でなければならず、そのために液絡部に、ピンホールをあけたり、セラミックを施したりしています。

いいかえると、ガラス電極は、pHの差による起電力が正確に生じるように工夫した電極。また、比較電極は、pHの差による起電力が発生しないように工夫した電極なのです。
1906年、Cremerが生物学の実験で、ガラス管の先端をシャボン球状に吹き、亜鉛電極を使って、2種の水溶液(0.6%NaCl+稀H
2SO
4,0.6%NaCl+稀NaOH)間の電位差を測りました。これが、ガラス電極の誕生とされています。
また、1909年、HaberとKlemensiewiczは、中和滴定しながら、塩化銀電極と甘コウ電極との電位差を測定したところ、水素電極と同様の滴定曲線が得られることを発見し、これをガラス電極と名付けました。こうして、ガラス電極は実用的なpH電極として、その第1歩を踏み出したのです。
しかし、初期のガラス電極は電気抵抗が大きく、ガラス膜もきわめて薄かったので、破れやすく、取扱いも不便なものでした。
その後、リチウムを含んだ化学的に丈夫な、しかも電気抵抗の小さいガラスがつくられるようになったこと、電子部品・絶縁材料技術の発達などで、第2次大戦後、急速にガラス電極は進歩、今日では、pH測定の標準として、ひろく使用されるようにまでなったのです。

わが国では、京都大学・岡田辰三教授の研究室が、戦後すぐにリチウムガラス電極の研究に着手。同時に各方面で、比較電極、増幅部の研究もすすめられていました。堀場無線研究所(堀場製作所の前身)は、これら技術を導入、統合し、昭和25年、国産第一号のガラス電極pHメータを開発しました。
更に昭和62年、ガラス電極の構造に2次元加工法を導入し、厚さわずか1mmにガラス電極と比較電極を組み合わせた「シート型複合ガラス電極」の開発に成功しました。(図参照)